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2009.09.18

■ユダヤ警官同盟 上下 マイケル・シェイボン 新潮文庫

なんというか、味わい深い小説でした。

一応、ハードボイルドミステリー風味なのですが、設定がSFです。
第二次大戦後、イスラエル国の建設に失敗したユダヤ人たちは、アラスカの限定地域に住むことになり、「シトカ特別区」と呼ばれている、という前提で話がすすんでいきます。
シトカは間もなくアメリカに返還されることになっていて、ユダヤ人たちはその後の身の振り方に頭を悩ませていたりします。 主人公はユダヤ人警官ランツマン。

ランツマンの住む安ホテルで、青年の死体が発見される。部屋には対戦途中のチェス盤が残されていた。青年は誰? このチェス盤は何を意味するのか? 
しかし、ここからが、なかなかスピーディーにはすすまない。チェスにからんで、ランツマンの父についての思いでが語られ、ランツマンの同僚でいとこにあたるベルコの生い立ちが語られるなど、脱線の連続。その中にユダヤ教義や風習がからんでいくという展開。このユダヤ教の部分も興味深いけど、とにかく、そちらの部分の比重が高く前半(上巻)はとにかくほとんど物語は進行しない。

後半、青年の出自が明らかになる辺りから、ストーリーは面白くなってきます。

読みにくい、分かりにくいといえば、その通りなので、絶対面白い、おすすめ!という感じではありませんが、私はかなり好きだったなあ。
ラストは、とてもよかった。 
ちりばめられた比喩表現の素晴らしさなど、文章がとっても「文学」しているところも新鮮でした。

元妻のビーナ。妹ナオミがとても魅力的な女性。他のキャラクターもかなり変でおかしい。

「川は流れる」よりも1000倍くらいよかったんだけど、「川は〜」の主人公がガキすぎたのが一因ですかね。まるで中2病でした。
「ユダヤ〜」の方は、主人公のよれよれ具合といい、全般に中年以降の読者なら、こちらにグッとくるかなあと思いましたね。


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