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March 2009

2009.03.26

■廃墟建築士 三崎亜紀 集英社

「七階闘争」
「廃墟建築士」
「図書館」
「蔵」
の4作品が収録されています。 いかにも三崎亜紀らしい発想で、いずれも面白かったです。
(うーん「蔵」がもうひとつかな)

表題作の「廃墟建築士」は「廃墟」に魅せられた建築士。早く古びさせる「偽装廃墟」とか、時事ネタっぽいことも入れつつ、廃墟を作り続ける情熱は、まるでガウディの建築を思わせる。

「図書館」には、「バスジャック」に収録されている「動物園」の日野原さんが再登場! 

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2009.03.19

■東京島 桐野夏生 新潮社

しばらくぶりに読んだ桐野さんの本。

無人島に流れ着いた20数名の男達と、たった1人の女性、という設定。
しかしこの女性を46歳という微妙な年齢にしたところが桐野夏生なのでしょう。

このような状況下、人間のエゴと欲望がむき出しになり、ドロドロの展開になるのは、想像通り。
そこへ生活力旺盛な中国人が流れ着いてくるというあたりで、また新たな展開に。

しかし、ラストはちょっと、ご都合主義な、いい加減な締め方。
というか、桐野さんのラストは大抵、「???」という感じだ。

あとで調べたら、戦時中に似たような事件があったそうですね。
「アナタハン島」というところで、多数の男の中に、1人の女性が暮らし、彼女をめぐって、争いが起こったとか。
「グロテスク」や「残虐記」のように、実際の事件をベースにしながら、独自の解釈で、事件の本質を浮かび上がらせるという桐野さんの手法、この作品では、あまり成功してないのでは?


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2009.03.17

■妊娠カレンダー 小川洋子

小川洋子さんをまとめて読んでみようと、まず芥川賞作品「妊娠カレンダー」を読んでみました。

うーん。なんだろう。
あんまり好きではない、作品ですね。 なんだか妙に生々しいからでしょうか。

他に2編収録されていて、

「ドミトリィ」は、「薬指の標本」に雰囲気が似ている。
スポーツと理数系と、身体の何らかの損傷という、小川さんらしい要素がちりばめられている。

「給食室と雨のプール」は無理矢理くっつけた感じで、これはあまり感心しませんでした。

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2009.03.12

■あの日にドライブ 萩原浩 光文社

大手都市銀行のエリートだった伸郎は、上司にたった一言言った言葉のせいで左遷され、退職する。
公認会計士を目指しながら、腰掛けのつもりでタクシードライバーになるが、初めは売上げも上がらず、家族ともギクシャクしはじめる。

実際にタイムスリップして、あの日をやり直す、みたいな話かしらと思ったら、違いました。
ほとんど、伸郎の白昼夢というか妄想です。
学生時代に憧れた職業に「もし」就いていたら? 好きだった女性と「もし」結婚出来ていたら? と思う事は誰にでもあることですが、まあ、結局、現在の道を選んだのは自分。曲がり角を曲がったのは自分ということですね。

タクシー業界についても、勉強になりました。

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2009.03.09

○BAHO Live Tour 2009 あすかホール

地元のホールに、BAHOがやってきました。
BAHOって、関東のギターBAKAであるCharと関西のギターAHO、石田長生のユニットなんだそうです。漢字で書くと「馬呆」。

Charって、別にファンってこともないのだけど、私たち世代では「気絶するほど悩ましい」は知ってます。石田長生さんに至っては、全く存じ上げませんでした。
それでも、わざわざ「わが町」にいらしてくださるのですから、歓迎させていただこうと思ったのです。

BAHOはユニット結成20周年なのだそうで、タイトルは「馬呆 祝成人 ハタチの出張 リサイクル会場」と、立看までありました。(笑)

「天才バカボン」の曲とともに幕開け。
一部はChar研究家の「たけなか ひさと」さんと、 石田長生マニアの「いしだ ながいき」さんが、二人のコピーをする、という設定でアコースティックギター技を聴かせます。アコースティックなベンチャーズとか。 
トークも漫才のようでおかしい。石田さんは関西弁でベタな笑いを、charはつっこみ。
会場全員とのじゃんけん大会もあったりして。 楽しかった。

第2部はパーカッションも加わり、カッコいいステージでした。二人のギターテクニック、詳しくはないけど、凄いのねというのだけは、わかります。
「3弦ギターコーナー」ってのがあって、石田さんが1・3・5弦、Charが2・4・6弦しか張ってないギターで一緒に弾くのですね。 それって、凄すぎませんか? 

時々歌も入るのですが、それぞれ、味があって、いい感じ。

客席年代は40代前後の方が多かったのかな。なぜか男性のハンチング率が高かったです。 
それにしてもやはり、地元民は少なかったですね〜。
Charに「この町の人はいる?」と聞かれて手を挙げたのは3人くらい?

あすかホールは、これまでに2回しか行ったことがなくて、映画の上映会と、家族の習い事の発表会だけだったのですが、結構いいホールかも。音がよかったです。

でもこの二人の雰囲気は、ライブハウスで聴いた方がいいような気もしたな…。

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2009.03.05

■薬指の標本 小川洋子 

以前から読みたいと思っていた「薬指の標本」。 小川洋子さんらしい、硬質で湿度の低い文章で語られる、ミステリーのようなホラーのような、ファンタジーのような、なんとも不思議な物語。思わず引き込まれてしまう。
しかし、これほど静謐なのに、なんとエロティックなことだろう。

主人公はサイダー工場の事故で薬指の先を失ってしまうのだけれど、その肉片がサイダーの中で桜色にほんのり染めていく…という描写がある。 その表現はグロテスクであると同時にあまりにも美しい。

標本室にしまわれた標本たちは「記憶」なのか「想い出」なのか。それとも「決別したいもの」なのか。

「博士の愛した数式」や「ミーナの行進」もよいけれど、小川洋子さんの本質って、こんな短編なのかしら。
3月は小川洋子さん月間にしようと思います。

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2009.03.03

■審判 ディック・フランシス&フェリックス・フランシス 早川書房

息子さんフェリックスとの共著、これで3作目なのですね(2作目みたいです)

いやー。面白かったわ。
法廷物好きなので、一層楽しめました。
後半の法廷での大逆転は、かなりワクワクしました。

トップジョッキーが殺害され、犯人としてライバルのジョッキーが逮捕される。弁護を受けるのが趣味で自らも障害競走の騎手として、レースに出場するジェフリー・メイスン。

骨折によって恋愛生活に不自由を味わうところ(笑)わたしが好きな「転倒」にもあったり、死んだ妻が忘れられないという設定もあったように思う。悪いっていうのではなくて、反対に「らしさ」が漂っているのがいいなと、思うのです。フランシス作品によく登場する「邪悪そのもの」の男なども。
そういうフランシスらしさを満喫しながら、法廷ミステリーとしても、楽しめて、一石二鳥なのです。

ただ、メイソンの最後の行動は、どうなのだろう…。というか、以前のフランシス作品ではありえなかったような気がするけど。

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