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2008.09.26

■われらが歌う時 リチャード・パワーズ 新潮社

「囚人のジレンマ」は途中で放棄しちゃったんだけど、こちらは頑張って読み通しましたよ。
基本的にパワーズ氏のテーマは、いつも「家族」です。アメリカという移民の国には、さまざまな人種が存在するわけだけど、だからこそ「家族」は大切なんですね。
第二次大戦中にアメリカに亡命してきたドイツ系ユダヤ人の物理学者の父と、黒人の母。そして兄・弟・妹の3兄弟の家族の物語です。
重要なモチーフは音楽。父母の出会いも、家族の絆も音楽にあります。
兄は天才的なテノール歌手に、弟はピアニストとして兄を支えます。

ユダヤ人と黒人という、二重のハンデを背負った兄弟たち。時代は1960年前後の黒人の公民権運動が盛んになって来た頃を中心に進んでいますが、章ごとに父と母の出会いの時期に戻ったり、時間はいったりきたりする構成。いよいよ激しくなる公民権運動のうねりの中で、最終的に3兄弟それぞれが選んだ道は? 

とにかく力強くパワフルで、全編に黒人霊歌のように、わき上がってくる音楽が流れている感じ。
兄のデビュー時期と、黒人暴動を目撃したジョナが、暴徒を見て指揮をするというシーンがあります。このあたりの表現力は作者の力のすごさを感じます。映画的といえるかもしれない。
ほかにも、家族であらゆる音楽を引用しながら合唱するシーンや、後半の子供たちと兄がコーラスするシーンなどの描写は、音楽を文章で表現した中で、最上のものではないでしょうか?

それから、印象的なフレーズが繰り返しでてきます。
「魚と鳥は恋に落ちることができる。」とか
「どの方角に望遠鏡をむけても、必ず違った波長を見つけることができる」

これが読み終わったあと、おおお〜という仕掛けにつながっていくんですが・・・。

上手くまとめられないけれど、圧倒された今年一番の小説であることは間違いなしでした。

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