« May 2008 | Main | July 2008 »

June 2008

2008.06.30

■死都日本 石黒耀 講談社ノベルズ

地球温暖化なんていってるけど、ひとたび火山が噴火すればプチ氷河期に突入してしまうのね。
そして、日本人のみならず人類滅亡だってありえるのだ。

火山国日本に生きている限り、地球という天体に生きている限り、これは避けられないこと。
少しでも被害を少なくするために今までの生き方、暮らし方そのものを変えてなくてはいけない、
という壮大な提案書でした。

古事記の記述が「火山」災害の記録と考えられるという指摘が興味深かった。いちいち納得。
恐ろしい大災害を教訓にするために「神話」になったというメカニズムに、人類の知恵がうかがえるのですが、さて、これから私たちは新しい神話を作ることができるのでしょうか。

| | Comments (0)

2008.06.27

■西の魔女が死んだ

きれいな映画でした。
原作を大切にしている人たちが作ったというのが感じ取れました。

丁寧に作られているし、何よりサチ・パーカーがよいですね。(目元がそういえばシャーリー・マクレーンに似てますが、シャーリーさんよりは、落ち着いたたたずまいですね。)
彼女のキャスティングによって、この映画は3割増しくらいよくなったかも。

それにしても、おばあちゃまの暮らしは今はやりのOHASそのものだからねー。
そういう意味でも、ちょっと「きれいごと」映画という気もするが。

それから木村祐一が意外によかった。「それでも僕はやってない」の検事役は、わざとらしくて好きではなかったんだが、このゲンジは適役。 不気味な怪しさがよく出ていて、非常に印象的だった。


| | Comments (0)

2008.06.24

■悪人 吉田修一  朝日新聞社

吉田修一を読んだのは久しぶり。 面白かったです。
九州の地方都市で殺害された若い女性。犯人はな彼女を殺したのか? 

驚いた。吉田修一がこんな話を書くようには思えなかったからなー。
でも考えれば、初期の作品には、主人公、祐一のような青年が登場していたし、東京湾景でも出会い系サイトで合った男女の物語だったし、不思議ではないか。

当たり前のことだけれど「犯罪」の被害者、加害者にはそれぞれ家族、友人、知人がいて、それぞれの立場での想いがあるわけで、この辺りの描き方がリアリティがありましたね。彼らの証言によって二転三転する犯人像がスリリングで、ぐいぐい引っ張って行く力強い構成でした。
特に犯人の祖母の身内としての辛さと、それでもまっすぐ生きて行こうとするキャラクターはよかったです。

最後の方の、祐一の饒舌さは、ちょっとらしくない気がしましたが・・・。

| | Comments (0)

2008.06.18

■あなたがパラダイス 平 安寿子 朝日新聞社出版局

この本、週間朝日連載中から話題になってたんですよ。 沢田研二ファンの間で。 そして沢田ファン以外からも結構、評判よいのですよ。
平安寿子さん。読んだことのない作家さんだったので、勝手に「へいあんひさこ」さんだと思っていた・・・すみません。図書館で「は」行の本棚を一生懸命捜してました。たいら あすこさんだそうです。 

で、読み始めたら。面白いです。確かに。
更年期を迎えた40代〜50代の3人の女性が登場するオムニバス形式の小説。それぞれが親の介護など、さまざまな困難を抱えながらも、ジュリーファンって設定。沢田さんが現在まで現役で、毎年アルバムを出してコンサート活動を続けていることが、しっかりアピールされていて、沢田研二広報小説の趣すらあります。

ファンとしてはその辺り、嬉しいけど、そうじゃない人って、引かないかな、とちと心配も。

でも面白いのは、ファンのタイプを書き分けているところなの。

始めに登場する図書館員の独身女性は、タイガース時代からの筋金入りのファンで、空白期間もなく40年以上彼の活動を追っている。
2番目の介護に悩む主婦はタイガース時代の「王子様ジュリー」を夢みていたけど、自身の結婚等でいつの間にかフェイドアウト。
3番目の離婚シングル女性は、上の二人より少し若いまだ40代前半。だから沢田研二のことはもちろん知っているけど、全盛期のパフォーマンスをやりすぎだと思ってあまり興味のなかったという設定。

やっぱりこんな風に分かれるんですよね。特に2番目のフェイドアウトタイプが圧倒的に多い。で、2番目さんが2000年に少し復活した。(と、思う)。 昨年阿久悠追悼で、また少し復活とかね。
わたしも21世紀になって約20年ぶりに、空白期間中の沢田さんを知って、びっくりしたもんね。テレビにはほとんど出なかったけど充実した活動(アルバム、コンサート、芝居、音楽劇)をしていて、しかも凄くクオリティが高かったことに。悔やまれました)

彼女たちの日常のやっかい事、悩みなどを癒してくれることになるのが沢田研二という存在なのですが、文章はテンポがよく、すいすい読めます。沢田ファンじゃなくても親の介護問題など、40代以降の女性にとっては共感できるところは多いし、元気づけてくれる小説でございました。

ちなみに「あなたがパラダイス」は「おまえがパラダイス」という沢田さんのヒット曲(そこそこ?)のタイトルより。

| | Comments (0)

2008.06.17

■鼓笛隊の襲来 三崎亜記

三崎亜記は短編がいいな。

設定はとても突飛なのだけど、テーマは人とのつながり、みたいな感じなのね。
・鼓笛隊の襲来 ・彼女の痕跡展 ・覆面社員 ・象さん滑り台のある街 ・突起型選択装置(ボタン) ・欠陥住宅
・遠距離恋愛 ・校庭 ・同じ夜空を見上げて

タイトル作品の「鼓笛隊の襲来」って、ハメルンの笛吹きを思い出してしまう。
「校庭」はちょと怖い話だけれど「遠距離恋愛」や「同じ夜空を見上げて」なんかは優しさがあってよい話です。

| | Comments (0)

■誰か 宮部みゆき カッパノベルズ

「名もなき毒」の杉村シリーズの第一作だそうです。 しかし、妙に後味の悪い作品だったなあ。
読んでいてい依頼人となる父を亡くした姉妹にイライラしてしまった。

| | Comments (0)

2008.06.11

□チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

20年前のソ連のアフガン侵攻を、たった1人で止めたアメリカ下院議員がいた。その名はチャーリー・ウィルソン。実話なんだそうです。

実は、もう少しコメディっぽいかと思っていたのだけど、かなり真面目なつくりでしたね。
確かにアフガニスタンとパキスタンをしょっちゅう取り違えるとか、アメリカ人たちの関心のなさや、アフガニスタンで米議長「わたしの息子はベトナムで、ソ連と戦った」とスピーチするのに「初耳だ」と突っ込むとことか、結構、笑えるところもある。

しかし、実際のウィルソン氏は、お気楽政治家だったかもしれないけど、トム・ハンクスが真面目なもんだから「お酒大好き」で「女性に弱く」「麻薬にも手を出しちゃう」政治家ってのはちょっと違和感。
やさぐれメタボCIA職員ガストを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンはいつもびっくりするけれど、よくもまあ毎回こんなに違う人相になれるよなあ。

さて、ストーリーも、前半そんな「素行不良」ウィルソン氏の状況説明と、いつのまにかアフガニスタンを支援していくという流れの説明がもたつく感じで、睡眠不足のせいもあって、ちょこと眠気に襲われた。

ソ連がアフガニスタンから撤退する知らせを聞いて、ウィルソンにCIA職員ガストが話す中国の寓話「人間万事塞翁が馬」がキモなんですね。善かれと思ってやったことが災いにつながり、災いから福になることもあると。

最後にウィルソンのコメントが出てきます。「最後の最後にしくじった」って。オイ!って感じだけど…。

| | Comments (0)

2008.06.10

■クマのプーさんと魔法の森 C.ミルン 岩波書店

ミルンの自伝を読んだら、今度は息子さん、そう、当のクリストファー・ロビンが書いた本があると、司書の友人が薦めてくれた本。

全体に、非常に客観的で理知的な筆致で淡々と書かれていて、やはり父ミルン譲りなのかも。

世界で一番有名な子供のひとりになってしまったクリストファー・ロビン。 そのことは本人にとって実生活では、何かとデメリットが多かったことがあったに違いありません。 
それでも、プーと過ごした子供時代は、懐かしく楽しい思い出であることは確かなのだと思います。父ミルンの自伝ではあっさりと書かれていた「プーさん誕生秘話」がここに書かれています。クリストファーとプーが森や橋や木で遊んだ様子は本当に楽しそうなのです。

後半は、両親、特に父と息子の物語になります。父と息子の愛情と信頼ということについて、考えさせられます。息子さんのいるお父さんにもおすすめしたいです。

| | Comments (0)

« May 2008 | Main | July 2008 »