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2008.05.30

■今からでは遅すぎる  AA ミルン 石井桃子訳 岩波書店

「今からでは遅すぎる」なんて、後ろ向きなタイトルにも聞こえますが、自己の半生を振り返って、両親、兄弟、友人などをひっくるめた育った環境を考えれば、自分はこれ以外の人間にはなりえなかったという、意味なんです。

ミルンといえばクマのプーさん。わたしにとっては、初の本との触れ合い体験なので(3歳くらいの頃、親に読んでもらったのを記憶している)それだけに思い入れ深いものがあるのです。
当然「クマのプーさん」誕生秘話、みたいなものが書かれているかと思ったら、ほんとにさらっと触れるだけで、ちょっと拍子抜けしてしまう。クリストファー・ロビンも、実際にはクリストファーって呼ばれていなかったみたいです。

私学を経営する父のもと、三人兄弟の末っ子として生まれたミルン。すぐ上の兄ケンと、何をするのも一緒だけれど、兄より少しだけ要領のよかったミルンは、ケンを勉強でもスポーツでも追い越してしまう。
少しだけ要領の悪い兄は、しかしすぐ自分を追い越してしまう弟のことを、深い愛情を持って接しているので、読んでる方は、ケンという人物に非常に高く評価したくなります。で、これを書いたミルン氏の兄に対する愛情も感じられるのです。
本の半分近くはケンと過ごした子供時代〜学生時代の話で、子供の頃は小公子さながらの巻き毛にされていた兄弟たち、HGウエルズが一時、ミルンの父の学校の教師だったとか、パブリックスクールの話など興味深いエピソードがいっぱいです。

後半はパンチの編集助手となり、さまざまなコラムを執筆しながら、作家となっていく経緯が書かれています。じつは、ミルンは劇作家としての仕事が大半を占めたようで、彼の作劇法なども語られて面白いです。(でも戯曲に関しては全く知らないので、残念)
そう考えれば「クマのプーさん」は、ほんの一時、子供のために書いたものが、たまたまここまで有名になってしまった、という感じなんでしょうね。ミルン氏には迷惑だったのかもしれません。

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