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2006.08.30

■ミーナの行進 小川洋子 中央公論社

またも小川洋子さんによって美しいお話が紡ぎ出されたなあと思った。
小川さんの小説を読んだあとは、いつも心のすみの小さな宝箱にしまっておきたいような思いにかられるのだけど、この本では実際、主人公のミーナがマッチ箱の中にお話をひそませているのだ。

中学生の朋子は岡山から芦屋の親戚宅に預けられる。フレッシーという飲料水メーカーの社長一家である親戚宅は広大な洋館にドイツ人のおばあちゃん、伯父、伯母、家政婦さん庭師そしていとこのミーナが住んでいた。
さらに元私設動物園の生き残りのコビトカバ、ポチ子が・・・。
ぜんそくで病気がちだけど、芯の通った美しい少女。彼女は誰よりも上手にマッチを灯すことができた。そして集めたマッチ箱のイラストに相応しい物語を作り続けていたのだった。

入学式、夏休み、クリスマス、ミュンヘンオリンピック、朋子と図書館のお兄さんの初恋。朋子とほぼ同世代のわたしは昭和40年代空気が懐かしい。

このか細く、あやういミーナとその家族が、平穏に過ごし、そしてミーナと朋子がそれぞれに相応しい職業についていたエピローグにほっとしました。

装丁、挿画の素晴らしさもまた特筆に価いします。ポチ子のaufwiedersehenには涙します。

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