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February 2005

2005.02.25

■アラビアの夜の種族 古川日出男 角川書店

ああ、ようやっと読み終えた。結構つらい長い道のりでした。
物語が二重にも三重にも四重にもなっているので、途中でフと途切れるとまた集中するのが大変だったりして。
エジプトに侵攻するナポレオン。これを阻止せんがため、ある高官は「読み始めたらやめられない、毒のような本」をナポレオンに与えて骨抜きにしようと計画。この計画は高官の奴隷であるアイユーブが考え出したもので、彼はこの本を作るため語り部を捜し出す。そして彼女によって毎晩語られる物語こそ、誰もが夢中になる一大ファンタジーなのです。悪の化身のような魔術師アーダムと蛇の化身ジンニーア、魔術師ファラーと、剣士サフィアーン。面白かったですけど、やっぱり疲れた。わたしって、実はあんまりファンタジー好きではないのかも・・・。ただサフィアーンって、腰の低い榎木津礼二郎みたいで、可笑しい。彼が出てくるとこが一番好きかも。

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■ウーマン・アローン 廣川まさき 集英社

まあ、とにかく驚きです。アラスカにあるユーコン川をたったひとりでカヌーで渡った女性の体験記なんですが。それまでカヌーに乗ったこともなかったのに、いきなり訓練もなしに浮かべちゃうんです。いやー、すごいです。

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2005.02.17

□五線譜のラブレター

妹が絶賛していたので観てきました。しかし一言でいうなら、ノレなかった・・・・。これにつきます。
作曲家コール・ポーター伝記映画なんですが、誰もが耳にしたことがある「ビギン・ザ・ビギン」や「夜も昼も」とか、ミュージカル「キス・ミー・ケイト」なんかを作曲した人です。で、彼を支えた妻リンダとの愛の物語というわけなんだけど、何かねえ、コール・ポーターって結構、ヤな奴なんですよ。どうも金持ちのぼんぼんらしくて、若いころはパリにて遊学。そこで後の妻となるリンダと出会い結婚。この一連をミュージカルでやってしまうんです。いかにも歯が浮きそうな、きれいきれいなシチュエーションで愛の歌を歌う。この辺りで多分引いてしまったのかなあ。実は彼はホモセクシュアルでもあって、リンダは承知のうえで彼の才能を見込んで結婚するんです。そのためまあ、夫婦の間には色々あるわけです。しかし二人は深い絆で結ばれておりました。というんですが正直、私はなんとなーく嘘臭く思えました。
衣装や美術はとっても豪華で楽しいんですけどね。リンダのパール(ミキモト製!)コーディネートが素敵とか、あと、ハリウッドの特殊メイクが凄いな〜とか思いながら観てました。(老けメイクが凄いです。あまりにも自然で。日本の老けメイクって、なんか未だに舞台のドーランでシワ描いたみたいなところから抜け出てないけど、こういう普通の映画でこんな風に自然に特殊メイクが使われているのに、妙に感動した)
結局ねえ、コールさんって人は才人ではあったんだろうけど、作詞のダジャレのレベルとか、あんまり私は感心できなかったんです。

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2005.02.14

□グッバイ・レーニン

ベルリンの壁が崩壊したことを知らずに昏睡状態を続けていた母が8カ月ぶりに目覚めた。医者にショックを与えてはいけないと言われた息子アレックスは、体制崩壊を母にさとられないようあらゆる手段で奮闘するが・・。
当時の東ドイツの状況がわかって興味深い映画です。「真実」を知らせないための工作をめぐるドタバタというシチュエーションコメディがベースになっているので、結構重いテーマも楽しく見ることができました。母に見せるためにでっちあげたニュースがまた面白い。「資本主義に疲れた西側の人々を難民として受け入れることにしました」というのは経済的に吸収されてしまった東ドイツ側の皮肉なのか。それにしても宇宙飛行士のタクシー運転手って、哀愁ありすぎです・・・・。
それからハイライトともいうべきシーンの空を飛ぶレーニン像はすごいインパクトです。

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□カレンダーガール

仲間のひとりが夫をガンで亡くし、基金集めのためにカレンダーを作って売りだそうとする女性連盟メンバーたち。しかしヌード写真ということで周りに波紋が広がっていく。これは実話だそうで、女性版「フルモンティ」って感じです。英国の田園風景が美しく、テンポよく楽しい。ヌードの発案者役のヘレン・ミレンがカッコイイ。日本でいうなら大楠道代さんだな。

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■ハードボイルド・エッグ 荻原浩

チャンドラーに憧れ、トレンチコートをまといマーロウの台詞をクールにキメる探偵。しかし彼に舞い込む依頼はペット捜しばかり。ある日彼は美人秘書を雇おうと決意するのだが、応募してきたのは、謎めいた美女ならぬ婆! さてどうなる? 笑わせてホロリとさせる、うまいなあという感じ。でもなんかそれで止まっているところが惜しいなあって気もする。

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2005.02.10

■オロロ畑でつかまえて 荻原浩

わはは。なかなか楽しかった。過疎の村で「村おこし」を計画する青年団の8人のメンバーたち。東京の広告会社に企画を依頼するのだが・・。バブル時代を思い出す。「町おこし」プロジェクトで代理店に何億円も巻き上げられた市町村がたくさんあったんだろうなあ。いや、よかったですよ、弱小ユニバーサル広告社で。やっぱ、直取引ならではの愛のある企画だったしねー。めでたしめでたし。

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2005.02.07

■村田エフェンデ滞土録 梨木香歩

明治時代にトルコに公費留学していた村田青年。彼の下宿先はオーナーがイギリス人の未亡人、下宿仲間にドイツ人とギリシャ人の学者がおり、召使いにトルコ人が働いている。そして下宿のペットのオウム。この5人と1匹が互いのカルチャーギャップに驚きながら仲良く暮らす日常が描かれる。しかし彼らは次第に歴史の流れに巻き込まれ、翻弄されていくのだった。 ちょっと淡々とした描写が退屈な気がしてたんだけど、最後の最後にオウムの一言でやられました。わたしは「家守奇譚」の方が好きではあります。

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2005.02.03

■アイムソーリー、ママ 桐野夏生 集英社

嘘をつくことも、盗むことも、人を殺すこともなんとも思わない生まれつき邪悪な存在、アイ子。彼女は娼館で生まれ育ち、母を知らない。母の形見である白い靴だけを友に生きてきたのだった。
うーん、構成がうまいです。周り回ってこのようにオチがつくとはねえ。とにかくどう展開するのか気になって一気に読んでしまいました。とにかく勢いがあるから。(ただ文章は全体にちょっと雑な気がした。)
とんでもなく恐ろしい女性なんだけど、どっか憎めないところがあるアイ子です。アイ子以外の登場人物も全員、気持ち悪い人ばかりです。殺される人の名前に牛とか動物の名前を入れているのは意図的なんだろう・・。
ラストは映画「顔」に似ている? あの映画も実際の事件にヒントを得たものだけど。

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2005.02.02

■残虐記 桐野夏生 新潮社

女性小説家がある小説を残して失踪。彼女は小学生の時に誘拐され1年間監禁されていたのだが、小説には監禁事件について秘められた過去がつづられていた・・。新潟の監禁事件にヒントを得たといわれているけど、実際の事件とは全く無関係と言っていいと思う。桐野夏生は事件の設定を借りて、そこから全く違う物語を創りだしている。とはいえ前回のグロテスク同様、その想像力で普遍的に本質をいい当てているのかもしれない。

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2005.02.01

■サウンドトラック 古川日出男 集英社

今回は「舞踏」を言葉で表現することにチャレンジ〜!なのかと思ったが。なんというか(^_^;)はじめの頃こそ「13」、「沈黙」的な重厚、端正な文章ではじまったけど、女子高生が登場しだすと口語の文章が物すごいことになってきて、これが「ボディ&ソウル」に重なってくる。躁状態。言葉があふれて崩壊していくような感じ。言っても言っても言い足りない饒舌な文章というか。うん、壊れましたね、古川さん。
これはほとんど好き嫌いの問題のような気もするけれど、後半の展開は破綻してるとしか私には思えない。トウタ、ヒツジコ、レニの主要人物のそれぞれに落とし前がついてないので、こんなにボリュームがありながら中途半端だ。続編があるのか? でもあまり読みたくない・・・。
池上永一的なパワーも感じたけど、わたしは池上の方が好きだな。

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