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October 2004

2004.10.29

■ワーキングガール・ウォーズ 柴田よしき 新潮社

37歳、独身の女性を主人公に、彼女の職場、友人をめぐるワーキングガールの日常を描いた連作短編。帯には「働く女」の本音と弱音を描いた本格「負け犬」小説、誕生! とある。 最初は主人公である翔子が「私は嫌われている」「人望はない」「ただ長くいるだけ」とさんざん自分の境遇を愚痴るのだけど、徐々にその正体が明らかになると有名企業の企画部係長、都心にマンションを持ち、年収は1千万というバリバリのキャリア女性であることがわかる。な〜〜〜〜〜んだ。そんなのぜーんぜん「負け犬」じゃないじゃん? 30歳以上独身・子どもなしというところだけで「負け犬」とか言われてもなあ。
いや、まあ全体に楽しめたんですけどね。翔子のメル友でオーストラリア在住の29歳旅行社契約社員の愛美の本音はとてもリアリティがあるし、独身で一人で暮らしていくしんどさみたいなものは共感できる部分もあるけどね。

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2004.10.28

□モーターサイクル・ダイアリーズ

1952年アルゼンチンのブエノスアイレス。23歳の医学生エルネストは年長の友人アルベルトのおんぼろバイクで南米大陸縦断の旅に出かける。アルゼンチン、チリ、ペルーそしてベネズエラ。彼らの姿はまんまドンキホーテだった・・・・。
キューバ革命の指導者として有名なチェ・ゲバラの若き日の物語です。実はぜんそく持ちで、恥ずかしがり屋で、口下手で、ダンス下手(笑)なゲバラ。、口八丁の友人との「痩せっチェ・太っチェ」コンビが絶妙です。旅を通して人種差別、病気隔離政策、思想弾圧などを彼らが目の当たりにして「何をすべきか」を考え始める彼ら。英雄の物語ではない、普通の若者のロードムービー、青春物語として魅力的です。
映画としてはちょっと退屈な部分もありますけど、なかなか見ることのできない南米の素晴らしい景観を彼らと一緒に体験できること、これだけでも見てよかったと思えます。
チェ・ゲバラの「チェ」は愛称で、アルゼンチンで人に呼びかける時の「ねえ」と云う言葉。彼の口癖があだ名になったそうなのだ。ゲバラの人柄が偲ばれますねえ。ホント。

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2004.10.26

■熱帯 佐藤哲也 文藝春秋

ははは。わははは。あははは。はーーー面白かった。いや、正直何が何だかわからないところもあったのですが。
熱帯と化してしまった東京に、情報システム改修プロジェクトに携わるSEたち、そして情報をブラックホールにしてしまう謎の政府機関「不明省」。愛国的気候論をとなえてエアコンを破壊しまくる過激派、KGBとCIA、そして水棲人。ほかにも不明省の役人、多々見不運と奈々子夫婦の優雅な食卓とか、いきなり「哲学バトル」テレビとか「チビめが」が口癖でボコボコに人を殴って氷20貫目をしょわせる多々利無運とかのやたら繰り返しの小技が可笑しいです。
とかくこの世は無理と無駄だらけって、ことなのねー。

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2004.10.22

■こころの王国 猪瀬直樹 文藝春秋

菊池寛といえば、大人気流行作家にして文藝春秋の創始者。しかしその風ぼうや振るまいには何ともいえない愛嬌が漂っていた。
菊池寛の秘書をしている「わたし」が見た菊池寛と文藝春秋について描かれる。語り手が女性で久世光彦さんの小説といっても通りそうな柔らかい文体です。彼女は菊池寛の愛人でありながら編集部の青年(朝鮮半島出身)と恋仲になるのだけど、この関係が興味深い。二人とも菊池寛を尊敬し、非常に大切に思っているのだ。青年は「わたし」が作品を通して菊池寛を理解していくためのガイド役でもある。こういう展開なので自然に菊池寛の生い立ちから不遇の学生時代のエピソードなど、分かりやすく読める。
で「こころの王国」とは? 結局漱石の「こころ」には「こころ」がなかったということですね。あれって、自分勝手に悩んで死んじゃう「先生」の物語でしたが、つまりそれは「高等遊民」の悩みであると。しかし現実にはまず生活があるのであって、文芸は生活の意志とともにあるというのが菊池寛の考え方であった。そして漱石作品に対峙するものとして短編集のタイトルを「心の王國」にした、ということらしいです。

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2004.10.19

■殺しの接吻 ウィリアム・ゴールドマン ハヤカワポケットミステリ

何とも不思議な本なのですよ。連続殺人鬼とそれを追う刑事の物語なのだけどどう考えても普通のミステリーじゃないです。ある種のラブストーリーかもしれませぬ。(笑)
犯人は色々な人物に変装し(時には女にさえ化ける!)言葉巧みに部屋に入り込み中年女性を絞殺する。彼は新聞に自分の犯罪が報道されることに喜びを感じていて、ついには刑事に自らの犯罪を通報するようになるんですが、この二人の間に次第に奇妙な感情が生まれてくるんです。さらに途中から刑事の恋人や果ては模倣犯が現れて、事態はとんでもなく変な方向へ・・。犯人、刑事、模倣犯、何れもマザー・コンプレックスの持ち主というのがポイントなのですが、いやー、何ともいえない読後感ですわ。

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2004.10.12

□ジョゼと虎と魚たち

知りあいにDVDを借りました。
評判の高い映画でしたが、期待通りのいい映画でした。劇場で見たかったなあ。
足の不自由な少女と青年の恋という設定なのだけど、実際にはほとんどの人が経験したことのある若い時の短い恋愛がテーマなのだよなと思う。お互いの境遇や考え方が違いすぎるがゆえに魅かれあって、そしてそのためにダメになっていく。
池脇千鶴の足が悪くても気の強いしっかりした女の子はもちろんだけど、軽くて、でも気の優しい青年を妻夫木くんが好演。最後に彼が泣き崩れるシーンは、素晴らしい。
ジョゼのおばあちゃんが、伊藤雄之介さんの妹か?と思うような方でとても印象的でした。

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2004.10.09

■鉄の枷 ミネット・ウォルターズ 東京創元社

どうも相性がよくないみたいで、この人の小説は読んでると眠くなっちゃいます・・。

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2004.10.05

■送り火 重松清 文藝春秋

富士見線という私鉄沿線に住む人々を描いた9つの短編集。
「良い」とか「悪い」とかではなく、なんか身につまされちゃうのよ。なんかね。
なので感想なんか書けません〜。
作品としては特によいわけではないけど、「シド・ヴィシャスから遠く離れて」が個人的にキました。

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2004.10.04

■空中ブランコ 奥田英朗 文藝春秋

一作目のインパクトがすごかったので、こちらは、まあまあですねー。空中ブランコをする伊良部〜。想像するとうなされそうだわ。(笑)

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