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2004.08.12

■壬生義士伝 浅田次郎 文春文庫

浅田次郎にはどんだけ泣かされてきただろう。壮大なスケールの「蒼穹の昴」。あるいは会いたくても会えないはずの人との邂逅が切ない「鉄道員」。江戸弁の語りが心地よい「天切り松闇語り」。でも次第にその押しつけがましくも思える「泣け泣け攻撃」に辟易してしばらく遠ざかっておりました。今回久々に家族がよかったというので読んだのが「壬生義士伝」。色んな意味で浅田次郎の集大成といえるのでしょうね。
語りの上手さには毎回感心する「天切り松」だけど、どうしたって松だけの語りなので、だんだん飽きがくる。ワンパターンになる。そこで考えましたね。色々な人の証言を取るという形式にして、とにかく登場人物が語って語って語り倒す、まさに「伝」でありまする。「新選組」の吉村寛一郎という南部藩を脱藩した隊士についゆかりの人物が東北弁で、江戸弁で、関西弁で、いわずもがなのところまでも語る。これでもかとばかりにくり返す。くどいんだよ〜!!そういうところがあざといんだよ〜!!!!泣かせようとさせすぎ〜!!!とか思いながらも泣けちゃいます。電車の往復で1回は泣いてました。はい。
文武両道に優れた人物ながら足軽という身分のため出世できず、妻子に金を送るため脱藩して新選組に入る寛一郎。金のために汚れ仕事もすすんで引き受け「守銭奴」と陰口をたたかれることもあったが「おもさげながんす」(申し訳ない)が口癖の根は優しく朴訥な人柄。故郷に残した妻子のその後や南部藩の要職にある幼なじみ大野との友情物語ももうひとつの柱。そして最後の語り手である農学者と彼が取り組んでいる仕事があきらかにされて、寛一郎の魂が受け継がれていることを知るのです。ああ、感動。またしてもやられましたね。なんかくやしいけどさ。
いやあそれにしても飯嶋和一さんとは対照的だよねー。作風が(^_^;)
えと、ついでにこれまた家族が見たいというので映画版「壬生義士伝」まで見ちゃいました。まあこんだけの話を2時間ちょっとに上手にまとめてありましたよ。特に中井貴一=吉村寛一郎。これほどのハマり役はないですねー。(笑)字も似てるし。

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