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2004.07.30

■黄金旅風 飯嶋和一 小学館

朱印船、奉書船貿易さらに「糸割符」なんて懐かしい言葉がでてきて、日本史の授業を思い出してしまいましたわ〜。
飯嶋さんの作品は基本的に、権力に対して庶民がどのように戦い、破れたかって話しなのですが、あまりにも淡々とした文章で、泣かせようとか、そういう作為が全然ないんですよね。もっと盛り上げて欲しいような木もするんだけど。でも最後には泣かされてしまいますが。そして何ともいえぬ寂寥感が・・。
江戸初期の長崎は海外貿易の拠点として賑わいをみせていた。私腹を肥やすために海外派兵を画策したり、切支丹弾圧に血道をあげる大名たちに対して、地元の民のことをまず先に考える代官平左衛門と火消し惣頭才介、そして鋳物師として天才的な腕を持つ真三郎。3人ともまたカッコよすぎるのよ〜。私利私欲がなく自分の技量を徹底的に磨き、己のすべきことをつきつめていく姿。でも真三郎なんて、いいのか、これで・・・? つらい。
あまりにも淡々と書かれているため、正直前半はちょっと退屈なところがありました。しかし中盤過ぎ、才介の黄糸の繭のエピソードを読んだ時はいつの間にか涙がじわ〜とでているのに気づきました。
「大愚を行う者は必ず大義を振りかざし、結果最も弱き者が悲惨を見ることとなる」そうなんだよなー。しみじみ今の世相を思いますね。

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