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June 2004

2004.06.29

■リアルワールド 桐野夏生

大学受験を控えた十四子(ホリニンナ)とその友人のキラリン、テラウチ、ユウザンの4人は十四子の隣に住む男子高生(ミミズ)が母を殺した事件に巻き込まれていくというお話し。名前というか、あだ名が変だね。「グロテスク」でも女子高時代の話しがえんえんと語られるけど、キラリンとヒカルって名前も類似してるし、何か含むところがあるのでしょうか)
この年頃って妙に醒めてるくせに純真だったり、好奇心はすごく強くて、感情も流動的で過激に過剰で本人が持て余してしまうところがある。共感というのではないが、色々思いだすことはあるのだけど。ちょっと感想が書きにくいですねえ。
キラリンを相手に軍事オタぶりを発揮するミミズの描写は滑稽感を漂わせているが、すごいと思うなあ。

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2004.06.24

□下妻物語

予告編を見たときは「また、つまんない映画を・・」と思っていたのに、公開後、そこかしこで絶賛の嵐。しかも山崎努と豊川君コンビのサッポロ黒ラベルCMの監督だと知って、興味を持ち、見に行くことにしました。

いや〜、こりゃおもろいわ。日本映画のチープさを逆手にとった演出。監督の才気があふれてます。特筆すべきは色使いかなあ。赤味かかった独特の色で、戦後すぐの映画「総天然色」って感じ。この色が下妻ワールドを形作っているといってもいい。ファンタジーとしての世界をきっちり作り上げてると思う。
ロリータファッションの桃子とヤンキー、イチゴの友情物語なのだけど、二人を演じる深田恭子と土屋アンナもあまりにもハマリ役。深田恭子のロリータ衣装も違和感なく、土屋アンナのハスキーな声がまたよい。互いの個性を認めあった友情にちょっぴり感動してしまった。
そして脇役陣が濃すぎるのだけど、それゆえこの下妻ワールドにはすんなり溶け込んでいる。こんだけ、予告編を裏切って(笑)面白い映画というのも珍しいかもしれませんねえ。

尼崎ジャージ人生(大笑)、ヴェル(P!)サーチ。そしてジャスコ。ああ、なんだかもっと色々書きたいわ。っていうかもう一回見たいかも。

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2004.06.23

■雲雀 佐藤亜紀

1920年代のヨーロッパを舞台にした「超能力」を持つスパイたちの物語「天使」の続編というか、姉妹編? 
順番は結構バラバラで、主人公であるジェルジェの両親の話しが出てきたり、そうなの? そういうことなの?と、かなり考えながら読まないといけませんでした。
「天使」に出てきていた人物のことも随分忘れていましたけど、いきなりこの本を読んだら面食らうだろうなあ。説明をほとんど加えないドライな筆致で淡々と描かれるため、ともかく流し読みが全くできません。とってもおすましな文体なんだけど、時々出てくる、すっとぼけた会話なんかこの人ならではですねえ。

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2004.06.19

■ハイスクール1968 四方田犬彦 新潮社

読みながら、自分の学生時代を追体験してしまったような気がした。私の中学生から大学時代は70年代そのものなんですわ。四方田さんのいう「孤立した前衛でありえた芸術は70年代には大衆消費社会のなかでほどよい面白さとほどよいスリルを備えた暇つぶしに成り下がろうとしていた」時代なんですね。
ゆえに、彼の時代には都市のエリートのものだった芸術が私のような田舎の中高生にも手に取れる時代になっていたのですね。ロートレアモンも植草甚一もATGも70年代はまだまだ影響力がありました。書いてあることがいちいち懐かしいです。
やっぱり日本が徹底的に変わったのは80年代なんでしょうね・・・。
四方田さんもスタジオボイスとかに寄稿していたんじゃないかなあ。当時渡辺直巳と仲良しだったのでは?ふざけたペンネームと思っていたけど「丈彦」の誤植だったとは〜(^-^;)

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2004.06.16

■カブキの日 小林恭二 新潮社

世界座というカブキの上演館で年に一度の顔見世興行が行われる。蕪という少女は両親と共に世界座を訪れる。彼女は有名な戯作者である故世之介の孫である。祖父の友人に世界座見学をするようにすすめられ、月彦という若衆とともに謎めいた世界座の楽屋へと足を踏み入れる。
これと並行して語られるカブキ界は、改革派の京右衛門と名門のあやめ派に分かれた権力抗争が激しくなっている。顔見世の主役を京右衛門派に譲ったあやめには何か魂胆があるらしい・・・。

「宇田川心中」に続き、小林氏の作品を読んでみました。傑作と評判高く、以前から気にはなっていたのですが、うーん。面白いかあ? 私にはただ単に破綻しているようにしか思えなかったですが・・・。わざとおちゃらけているところなどでも、全然可笑しいと思えない。
まあ、合わなかったということですかねえ。
同氏の「ゼウスガーデン衰亡史」は10年くらい前に読んで、すごく好きだった記憶があるのだけどなあ。

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2004.06.14

□謎の変奏曲

杉浦直樹、沢田研二の顔合わせによる翻訳劇を南座で観るという、中々シュールな体験をしてきました。
3階席の1列目からの眺めは、やや情報から舞台を見下ろす感じになり、奥行きがあまりないため、丁度舞台だけが切り取られるような形でかなりよい鑑賞状態でした。
ノーベル賞を受賞した文豪ズノルコの下へ、ラルセンと名乗る新聞記者がインタビューにやってくる。
人間嫌いで知られ、隠遁生活を続けるズノルコの最新作は、ある女性との書簡集だった。これはフィクションなのか、実話なのか・・?
ふたりだけの会話劇は笑いを織り交ぜながら緊張を盛り上げ、徐々に真相があきらかになっていく。本当に愛していたのは、一体、誰? 
杉浦直樹が傲岸不遜な老作家の内にある淋しさを滲ませた演技で、よかった。沢田研二の新聞記者はちょっと可愛らしすぎかなあ。立場がひっくり変えるところでもう少しシャキッとした感じになる方がよかったのではないかしら。
何故か中国新聞御一行様が後ろの席にズラ〜リと並んでいらっしゃいましたが、観賞会? あれこそが謎。

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2004.06.13

■宇田川心中 小林恭二

「愛とは、つまり次に会うという約束なのだ」
時空を超えたラブストーリーとでもいうのでしょうか。
600年前に結ばれなかった男女の魂が、江戸末期と現代の二人の出会いとなる。
メインは江戸時代。小間物屋の娘はつがひとめぼれしたのは僧昭円。二人は一目で恋に落ちる。
因果応報、荒唐無稽、告白合戦による実は実はのどんでん返し・・。
歌舞伎をみているようなストーリーです。
渋谷が舞台となっているので、現代の様相と較べて600年前、江戸時代の風景描写が興味深い。
あと、江戸時代の女の子の会話が「きみはねえ」調なのが気になったけど、わざとなんでしょうねえ。

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2004.06.11

■上司は思いつきでものを言う 橋本治 集英社新書

というタイトルを読んで、うなずかない人はいないんじゃないか・・。
そしてそれは「上司」だけでなく「官」だったり「アメリカ」だったりもするわけで、
これに対する正しい対処法は「正当にあきれてみせる」ことだそうです。
さあみんな、ちゃんとあきれてみせましょう。

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2004.06.08

■LAST 石田衣良 講談社

タイトルすべてに「LAST」がついた短編集。
LASTとは「最後」という意味であると同時に、最低の、どんづまりの、行き場のなくなったという解釈もできるかもしれません。
主人公はみんなそんな風な状況に追い込まれています。それもほとんどが借金のためで、最後に決断を迫られるのです。
・・・・・正直いって、全体に不快なものが。うーん。何ともいえません・・・。

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2004.06.07

■豆腐小僧双六道中 京極夏彦 講談社

妖怪「豆腐小僧」を主人公にした連作短編集。
おばかな豆腐小僧が他の妖怪と出会いながら、立派な妖怪として成長していきます。

いやあ〜、面白かった。これは落語ですね。最後の章はホント、誰か落語家さんが演じてくれたらいいのに。
それにしても「妖怪」について真面目に、でも面白くわかりやすく、解説してくれたものです。
最終章の大団円には、感動いたしました。素晴らしい。

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2004.06.03

□キルビル2

公開終了間近にやっと19:00以降の上映回ができたので、なんとかギリギリで観られました。
ウワッ!とかオオッ!とかではないけど、面白く、楽しめました。
アクションシーンが派手だったvol.1に較べるとテイスト違いの別作品みたいだったけど、
私はこちらの方が好き。
アクション続きの1より、静と動がはっきりしていて緊張感がありました。
音楽の使い方がいいな。

1本にせ〜よ、という声もあるみたいだけど、違う味が楽しめたので、2作に分けてよかったと思う。
ただ、公開時期を3カ月後くらいにしてくれたらよかったかな。

しかしなー。ジュリー・ドレフェスはどうなったんだよ〜?

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2004.06.01

田中一村展

大丸元町店にて「田中一村展」を観た。奄美に移住してでひとり絵を描き続けた孤高の画家だ。

奄美の自然を精緻に、しかし大胆に描いた作品の迫力には息をのむ。

10年ほど前に観たことがあったのだが、今回は若い頃の作品も含めて展示されていた。
10代の頃の絵は神童といわれた才気溢れるものだけれど、その後の作品は、素晴らしいものと
首をかしげるようなものに分かれるのだ。これは何なのかなあ、と不思議に思う。
普通の比率で描かれた農村風景などは、どうも迫ってこない。

そして奄美に移住してからの絵を再びみて納得するのだ。
アダンやシュロ、アカショウビンなどが、縦長に切り取られたような構図。
この縦長こそ彼の絵を最大限に生かす比率なのだと。
この島で20年過ごし、約20枚の絵を描いた一村。一枚一枚に命が刻み込まれているようです。

神戸近辺のみなさま、一度ご覧になることをおすすめいたします。


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