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May 2004

2004.05.30

■手のひらの蝶 小笠原慧 角川書店

血を抜いて人を殺すという異様な連続殺人事件が起こる。その最中、若い母親が殺害され、現場には九歳の息子がアイスピックを手に呆然と佇んでいた・・・。少年の担当医となった女医と、数年前に起こった連続殺人と今回の事件の関連を追う二人の刑事は協力しあいながら真相を究明していくが。

かなり複雑な話を面白く読ませてくれました。なかなか読みごたえあります。
前作の「DZ」も読んだけど、うまい作家だと思います。でも何故かあんまり話題にならないですね。

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2004.05.27

□ビッグ・フィッシュ

現在とお父さんの過去のホラ話が交互に語られる構成が、ちとしんどい部分もありました。
ほら話の部分は好きなの。楽しい。映像が美しい!
でも現実の年老いた父さんが、痛々しすぎて、見ててつらかった。
とはいえ、ラストは予想通りではあったけど、じんわり泣けました。

バスタブの老夫婦のラブシーンは美しかったですね。
しかしジェシカ・ラングとアルバート・フィニーを夫婦にするのは年齢的に無理なんじゃないの? 
本来は同い年くらいの設定でしょ?
アルバート・フィニーがちょっと精彩がなかったのが個人的に残念なのよ。
「トム・ジョーンズの冒険」という映画がとても好きだった。
オードリーと共演した「いつもふたりで」も。ポアロもハマリ役だったしなあ。

ジャンボマックスみたいな巨人さんがとにかく印象的。ブシェミも相変わらずいいなあ〜。

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2004.05.26

■あら皮 バルザック バルザック全集3 東京創元社

小学校の時に愛読していた「少年少女世界名作文学全集」には印象的な作品がたくさん載っていた。バルザックの「あら皮」もその一つ。話しは単純で、ある青年が絶望して自殺寸前のところをなんでも願いがかなう「あら皮」で出来た護符を手に入れる。しかしその皮は願いがかなう度にどんどん縮んでいき、彼の命も同様の運命をたどるのだ。こういう棚ボタ(?)系の話しって、結構好きだったのかもしれません。(笑)「宝のひょうたん」とか。ただこの作品で興味深いのは、あら皮が縮んでいくのを止めようと、あらゆる実験をしてみるところかな。当代の物理学者、化学者などに頼んで伸ばしたり、引っ張ったり、燃やしてみたり・・という、自然科学的な風潮が取り入れられているという。でも結局は運命に逆らえないのですが。

ところが原作を読んでみたら驚きの長さ。主人公の回想部分(自殺に至るまでの経緯)が長い、長い。一体本筋は何か、ほとんど忘れそうになるくらいだ。
それにしても主人公、友人達、恋人、通りすがりの人物についてまで何もかも書き尽くそうという勢いの描写で、お腹いっぱいになりました。

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2004.05.25

□ロング・グッドバイ

神戸の西灘劇場が閉館するので「さよなら上映会」に行ってきた。とはいえ、別に常連だったわけではないのだが・・。「レイジング・ブル」「キッズ・リターン」の3本興業なのだけど見たのはこれのみ。
フィリップ・マーロウといえば、ロバート・ミッチャムとか、ハンフリー・ボガードのトレンチコートにソフト帽というスタイルを思い浮かべてしまうのだけど、エリオット・グールドのマーロウは、全く違う。70年代という時代を体現した新しいマーロウ像を作ったってとこなのでしょうか。監督はアルトマンでした。当時は絶対、賛否両論だったでしょう。でもそれすらすでに30年前。今見ると、やはりなんか懐かしさ満載だったりするのでした。

ちょっと、けだるいムード、暗っぽい画面、荒れた画質。やたら煙草を吸うマーロウ。猫ちゃん。カレー印のキャットフード。事務所の隣にいるヌーディストでヨガにはまってるオネエさんたち。などなど。
(一緒に行った人は「探偵物語」はコレをパクってるんだなあ、とおっしゃってました)

ギャングにら致されて突然「服を脱げ」といわれて、ギャングまで脱ぎだしちゃうというわけのわからんシーンで、やたら体のいい兄ちゃんがいると思ったら、若き日のシュワルツネガー登場。

主演はエリオット・グールドで「おお、懐かしい〜」。この人は「M★A★S★H」で、70年代アメリカ映画のある種のヒーローだったんだけど、サザーランドと較べると現在の活躍度はいまいち?。調べたら2年ほど前の「オーシャンズ11」にご出演だったのね。ちょっと、いやかなり貫録ついたお姿でした。

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2004.05.23

■異国伝 佐藤哲也 河出書房新社

「その昔、とあるところにそれは小さな国があった。あまりにも小さいので地図に載ったことがなかったし、旅行者向けの案内書にも載ったことがない」という出だしで始まる54の短編集。「あ」から「ん」まで「愛情の代価」 「威光の小道」のように「○○の○○」というタイトルに統一されているから目次を見ると、ちょと壮観。
寓話というか、なんともいえない不思議な話。笑えるものもあるし、呆気に取られるような話もあれば、ちょっと感動的な話もあったりする。
表紙の絵がなかなか本のイメージにぴったりでいい。風景が顔に見えるだまし絵になっている。アルチンボルトをちょっと思い出させる。クレジットはジョセ・デ・モンペールという画家の絵。調べたがどういう人かよくわからない。

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2004.05.20

□スクール・オブ・ロック

見てまいりました〜。ベタな展開ではあるけれど、評判にたがわず面白かった。
クライマックスのライブシーンにはちょっと涙ぐみ、思わず拍手してしまったよ。
ジャック・ブラックはグリグリ動く目の表情がすごい。もう、目一杯頑張ってくれましたね〜。
堅物校長先生役のジョーン・キューザックも実にハマっておりました。
教室にズラっと(というほどでもないが)i-Macが置いてあるのにちょっと反応。
タイトルロールとエンドロールが楽しい。こういう作りは大好きです。

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2004.05.18

■長く冷たい秋 サム・リーヴス 早川文庫

シカゴのタクシー運転手クーパーが主人公のハードボイルドもの。かつのて恋人の自殺を知ったクーパーは、葬儀の席で彼女に一人息子がいると知らされ、母の死にショックを受けて失踪した少年を探しはじめる。少年は実は自分の息子かも知れないのだ。やっとのことで見つけた少年は母は誰かに殺されたのだと言い出す・・・。
つまんないわけではないけど、すごい面白かったというほどでもない。シリーズになっているらしいけど、次を読もうという気にはならないな。もうちょっとクーパーに魅力が欲しいなあ。

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2004.05.14

■熱帯魚 吉田修一 文藝春秋

熱帯魚・グリーンピース・突風の3作品収録。
ううん。「現代」なんでしょうか・・・・。
出てくる男はみんな変な奴だ。自己中・わがまま。
そばにいて欲しくないやつばかりで。
初期の吉田修一はあんまり好きになれないですねえ・・・。

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2004.05.13

□Elephant

コロンバイン高校銃乱射事件を扱った映画で、タイトルの意味は「盲人象を撫でる」の故事によるそうだ。
ただ淡々と映される高校のある一日。カメラは数人の高校生の姿を後ろにぴったりと寄り添って映し出す。長い廊下で、食堂で、すれ違い、おしゃべりするいつもの日常。それぞれの視線から何度か同じシーンが映される。廊下でカメラ好きの少年が友人を撮影するシーンは印象的だ。
犯人の二人の生徒の動機はあきらかにされない。一人はいじめにあっているという描写はされるが他の生徒の日常に埋没したように提示されるだけ。ヒトラーの映像やシューティングゲームに興じる姿もまた淡々としている。
犯人のひとりがジョン・キューザック似のあどけないともいえる少年であったり、冒頭に出てくる偶然生き残った少年ジョンが金髪サラサラの美少年って、監督の趣味なのかと思ったとこもあったけど。
高校生達はオーディションで選ばれた素人で、本名と役名が一致している。台詞なども即興で作られたらしい。これは彼らを描いたドキュメンタリーでもあるのかもしれない。

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2004.05.11

■決断 バリー・リード ハヤカワ文庫

前作「評決」って読んだかどうか忘れちゃった。映画で見ただけかな? それとも映画の方を見てなかったんだっけ・・? とにかく、かつての酔いどれ弁護士ギャルビンは本作ではボストンの有名弁護士事務所で、もうすぐフルパートナーになる予定という順風満帆ぶりなのだ。薬害訴訟でこころならずも被告側の弁護士としてかつての盟友、部下と戦わざるをえなくなり、ジレンマに悩むのである。
結末は大体予想はつくのではありますが逆転、逆転の連続でうまく読ませられます。堪能させていただきました。

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2004.05.06

■動機 横山秀夫 文春文庫

最近この方の作品、やたらとテレビドラマ、映画化されていますねー。このタイトル作品もドラマになったらしい。見てないけど。短編集ですが、全体にうーん、もうひとつですかねえ。ちょと無理あるんでない?って気がしました。

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2004.05.02

■黄色い目の魚 佐藤多佳子 新潮社

これはなかなかよかった。拾い物のような佳作だなあ。
絵のうまいサッカー好きの少年と、イラストレーターを叔父に持つ、まっすぐな気性の女の子の小学生時代から高校生までを、生い立ち、出会い、そして恋心を連作短編の形で描いている。
女の子の名前は「みのり」。だからというわけではないだろうけど、樹村みのりさんの描くまんがの少年・少女を思い出した。

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2004.05.01

□eiko

麻生久美子主演の映画。ちょっとお人よし過ぎる彼女は男にみつぎ、怪しげな幸運グッズを買い借金取りに追われているところへ会社が倒産し、困り果てる。偶然出会った沢田研二扮するボケ老人!!!と同居することに・・・。まあ、なんとも。可もなく不可もなくという映画でした・・・。
麻生久美子って、映画でちゃんと見たのは始めてだけど、きれいだけどすごーい地味な顔立ちなので驚いた。阿部サダヲって、実は豊川君(悦司)に似ていることを発見。(笑)身長の差かな〜。

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■東京湾景 吉田修一 新潮社

よい感じでした。携帯の出会い系サイトで知りあった男女。お互いを探り合いながら「信頼」していく姿に好感を持てます。(「日曜日たち」よりも好き)
でも二人をモデルに連載を始める、作家ほたるさんのほうが色々心配だ。(笑)

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