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2004.03.30

■ジュネ伝 上下 エドマンド・ホワイト 河出書房新社

孤児、同性愛者、泥棒・・。ジャン・ジュネにつきまとうのは常にこんな言葉だ。と同時に薔薇、奇跡、恋など華麗な修飾語を持って語られる。ジュネの作品は「性」と「聖」が混在しながら「美」へと昇華されているのだ。

高校時代に夢中になって読んだジュネの伝記となれば、読むしかないよ。しかし、伝記とはいえ、ジュネの小説同様、さまざまなエピソードが絡まり、連なり、読みにくいこと・・。結局1カ月くらいかかりました。いや、凄いんだよ。ついていくのが大変なだけで・・。へとへと・・。

孤児として生まれたジュネは里子に出され郊外で育つが、その後軍隊に入り、各地を転々とする。そして盗みを働き、刑務所へ。しかし本を読むこと、書くことへの情熱は持ち続け、コクトーに認められて「花のノートルダム」でデビューする。内容が内容だけに秘密出版のような形となるが、非常に高く評価されサルトル、ボーボワール、ジャコメッティなどパリの名士たちとの交流を深めていくのだ。その後3作の小説を書いて、ジュネはスランプに陥る。名声はゆるぎないものとなっているが、小説が書けない。戯曲に突破口を見いだし「女中たち」「黒人たち」といった作品を発表。以降はアメリカのブラックパンサーや、パレスチナに共感を寄せ、支援活動を積極的に行う。80歳すぎで波乱万丈の人生を終える。(現在読んでいるポール・オースターのエッセイで、アメリカに来たジュネの通訳をやったと書いてあった。へえ〜へえ〜へえ〜)

驚いたのは孤児〜泥棒という経歴?を持つジュネだけれど、子供時代は客観的に見ると、それほど、悲惨なものではなかったということ。里子に出された先では里親にも可愛がられ、学校にも通い、成績優秀で上級職業学校にも進学することができたのだ。でも、そこで、結局逃げ出してしまい軍隊に入り、盗みを働き、刑務所へ・・というコースをたどる。なぜなんだ?と思うけど、それがジュネなのか。人間は環境ではなく、持って生まれたものに支配されるのか? 

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