« January 2004 | Main | March 2004 »

February 2004

2004.02.26

シービスケット

よかった。とても素直によかったと思える映画でした。
馬主、調教師、騎手そして馬の偶然の巡り合わせ。彼らが出会うまでの話しと、出会ってからの結構長い期間の話しだけれど、それまでの彼らの人生や人物像がうまく描けていたと思う。
ナレーションはあくまで時代背景の説明であり、個々の人物の感情に関しては映像で語り、余韻を残す演出で、感動を押し付けないところがとても好感がもてた。
美術も素晴らしい。(もろノーマンロックウェルの世界)
レースの迫力もまた素晴らしい。

競馬中継のDJが、またいい味〜。
ライバル騎手のウルフは本物の騎手らしい。顔がなんとなくヘンリー・フォンダに似ていました。「怒りの葡萄」の時代だよね。

私はこれにオスカーをあげたかったかりします。(って、他の候補作品は見てないくせに〜)

いくつかの疑問
・騎手の家族はその後どうなったんだろう?
・馬主の二度目の奥さんは、元々馬主とどういう関係だったのだ? 
・それから〜、なんで「シービスケット」なんて変な名前なんだろう???

|

2004.02.19

ラブ・アクチュアリー

ラブ・アクチュアリーはあんまり期待はしてなかったけど、なかなか楽しかったです。音楽も懐かしい曲満載で、まあそれだけで心地よいですね。
19の恋の物語でありますが、それなりにまとまって、楽しい気分にしてくれました。ポルトガル人と恋する作家のエピソードが一番好きかな。キーラ花嫁に片思いの青年のエピソード、初めのうち私は青年は旦那の方に惚れているとばかり思っていたぞ。(笑)

私的にツボだったのは狂言回し的な役回りの「老いぼれロックシンガー」のおじさん。プロモーションでテレビやラジオで自嘲気味に毒舌を吐きまくっているのがウケました。この役者さん、ビル・ナイという人で「スティル・クレージー」という映画でも、再結成した老いぼれロックバンドのヴォーカル役をやっていた人だ。ハマリ役ですわー。

|

2004.02.16

ニッポニア・ニッポン 阿部和重 新潮社

去年の10月10日に日本産最後の鴇が死んだ。この小説「ニッポニア・ニッポン」にも登場するキンだ。
キンは36歳で、人間にすると約100歳だったという。ニュースで見たとき、キンの孤高の厳しい表情(?)に胸打たれた。キンは突然飛び上がり、ケージの扉に激突したという。最後の鴇の壮絶な死に様だったと思う。
もしかするとこのキン死亡の前と後でこの本の読後感は少し違うかもしれない。

さて、この小説の主人公の少年は、ひきこもりの17歳。同級生の女の子にストーカー行為を働き、都会で一人暮らしを余儀なくされてしまった。彼は自分の名字(鴇谷)から「鴇」に興味を持ち、保護鳥に指定されケージに閉じこめられた彼らの境遇に同情する。しかも中国産のトキとつがわせ、混血増殖計画をたくらんでいる! なんという欺瞞! 彼女を解放してやらねば!と決意する。
彼は「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」のため「飼育、解放、密殺」の何れを選ぶのか。

もちろん、ものすごい思い込みであり、勝手な論理なのだけど、気持ち分からないでもないと思うのです。

まあ、鴇に関する心情はともかく、この小説のすごいところはひきこもり少年がトキ保護センターの情報から、武器の調達まで全てネットで行う過程が詳細に書かれていて、それが全て実在するものであり、その時点では事実であるということ。小説では「この物語はフィクションであり、実在する人物・団体とはいかなる関係もありません」というのが建前だけど、基本的には全部実在するのであります。
そして少年の思考回路を細かに書きながら「それは彼の勝手な思い込みであったが」という視点が存在する。
そう、これは三人称の小説なのでした。ストーカー、ロリコン、盗聴などのエピソードもあって、「シンセミア」の前作としては非常に納得できる。この形式が「シンセミア」へと続いていくわけなのですね。

|

2004.02.13

取るに足りない殺人 ジム・トンプスン 扶桑社

トンプソンの初期の小説だそうですが、その後に作品につながるエッセンスがつまっていて、非常に面白い。
アメリカの田舎町で映画館を経営する男。運命の女と出会い、保険金殺人を思いつき、小さな町の人間関係の中でじわじわと追いつめられていくのですが、主人公の男は「俺は悪くな〜い」って態度で他人事のように語ってゆく。なので私は、そうそう、そうなのね、と彼に同情的になり、後半の展開には思いきり驚いてしまいました。(←馬鹿)

|

2004.02.10

世界は密室でできている 舞城王太郎 講談社ノベルズ

ああ、そうなんだあ。
舞城王太郎って、こういう世界なのねと納得しました。
いきなりルンババ12が出てきても驚かないぞ。
こちらを読んでいれば「九十九十九」も割合すんなり読めたのかも。

これは面白うございました。青春小説としていい感じです。
それにしても、舞城くん、絵がうまいねえ!!

|

2004.02.09

バルザック全集1 ふくろう党 バルザック

「シンセミア」を読んだせいなのか「大長編」が読みたくなって、それならバルザックか? という思考により今年はバルザック全集読破という目標を立ててみました。
バルザックは少年少女名作全集などで短編をいくつか読んだのみ。でも気に入っていたので「人間喜劇」という作品全体のくくりにも魅かれていました。

で、全集1 「ふくろう党」
あかーん・・。全然読み進めない。
革命後のナポレオンの元で共和制になったフランスで、「ふくろう党」を名乗る王党派と共和派の戦いが続く。王党派をひきいる、青年貴族と共和派の美女とのロマンスの行方はいかに?
という話しなんだけど、時代背景がよくわかっていないこともあって、かなり退屈してしまった。
会話部分も芝居の台詞のようで「独白」部分が語りになっているとか、馴染みがない表現が多くてね。
冗談なのか、真面目なのかよくわからん。

しかし全集って26巻もあるんですわ。早くも挫折しそうだなあ。

|

2004.02.05

真実のマレーネ・ディ-トリッヒ

マレーネ・ディートリッヒの誕生からその死までを、多くの証言を交えてオーソドックスな手法で描いたドキュメンタリー。マキシミリアン・シェル監督の「マレーネ」を見たり、マレーネの自伝、娘(この映画にも出演)による伝記なども読んでいるので内容的には、ふんふんという感じで「真実の〜」という邦題の割には特に驚きや発見はなかったですね。(あくまで映画としてね)

ディートリッヒとガルボは、並び称される女優だけど、私はディートリッヒの方が好きだな。映画の中でマレーネは「魔性と母性が共存するというような表現をしていたけれど、この二面性が人を惹きつけるのだろう。ガルボはどの顔をみてもガルボだけど、マレーネは絶世の美女に見えるかと思うと、気のいいおばちゃんにしか見えない時もある。これが魅力なんだと思う。
実は一時ガルボとマレーネは隣に住んでいたことがあるそうです。恋人であったジャン・ギャバンと同棲していたマレーネ宅を、ガルボがのぞき見してたって。
ギャバンとのエピソードはなかなか泣けるものがある。終戦直後、凱旋更新をする戦車隊長ギャバンを探して走り寄るディートリッヒ。彼女もまた、反ナチスのため米軍慰問に前線を飛び回っていたのだった。(そして各国から勲章を授与されている)
彼女の生涯でもこの戦争中の活躍がハイライトとなるのでしょう。ドイツ生まれながら、ヒトラーを嫌い、ドイツからは「裏切り者」と呼ばれた。(この辺りはレニ・リーフェンシュタールとも対照的)でも最後まで彼女はドイツ人(プロシア人)であることに誇りを持って、テルアビブでのコンサートでは「ドイツ語」で歌うことにこだわった。

それから彼女と夫との関係もなかなか面白い。ギャバンを初め多くの恋をしたディートリッヒだけれど、ドイツ時代に結婚した夫とは離婚せず、生涯深い絆で結ばれていた。早くに父を亡くした彼女の父代わりだったのかもしれないけれど、彼女のことを信じ、励まし続けた夫は凄いですなー。

|

« January 2004 | Main | March 2004 »