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October 2003

2003.10.28

タイムスリップ明治維新 鯨統一郎

ああ。また読んでしまった。もう、読むのは止めようと思ったのに。
「わたしが書いたタイムスリップもので1・2を争う出来です」と広言していたで、ちょっとその気になってしまいました。でもやっぱりいまいちです。(笑)
「タイムスリップ森鴎外」で森鴎外と現代で遭遇したうららが主人公。彼女は鴎外と会ったことでタイムスリップしやすい体質になってしまい、幕末に迷いこんでしまう。桂小五郎、勝海舟、坂本龍馬など、そうそうたるメンバーたちと正しく「明治維新」を起こすべく奔走するという話しです。
この調子なら、タイムスリップものは確かにいくつでも書けそうですね。でももう、読みません。

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2003.10.24

魔女は夜ささやく ロバート・マキャモン 文藝春秋

待ちに待ったマキャモンの最新刊! と思ったけど、本当に最新作なのだろうか? むしろ昔の作品ぽいっという気がした。
時代は17世紀。舞台はアメリカ。まだイギリスの植民地時代だ。
映画にもなった「スリーピーホロウ」のような感じかもしれない。まだ魔女や伝説の噂に翻弄される民衆たちが登場する。

ファウントロイヤルという新しい町は災厄にとりつかれている。凶作続き、殺人、火事騒ぎで、町を逃亡する人が絶えない。これにイラついた町長は魔女のしわざと、ポルトガル人との混血美女レイチェルを捕らえ、魔女裁判を行うことにした。やってきたのはウッドワード判事とその書記で孤児のマシュー青年。マシューはレイチェルが本当に魔女なのか疑問を持つ・・。

あやしげなわけのわからない人物たちがウザウザウウザと出てくるし、当時の風俗も丁寧に描かれているので前半は結構読みにくい。まあ、読後さわやかイメージなので、最終的にはよい気持ちになれるけど。

町長のビドウェルのキャラクターがナイスすぎます~(笑)

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2003.10.20

ジャンプ 佐藤正午 光文社

佐藤正午は初読みかもしれない。
人生は後悔の連続なのでし。あの時、ああしていたら、あんなことをしなければ・・。
主人公の青年も大きな後悔を抱えている。つきあって3カ月の彼女が、突然失踪してしまったのだ。
彼のためにコンビニにリンゴを買いにいったまま戻らなかった。
その後出張に出てしまったため、すぐに彼女を探さなかった彼は、ずーーーーと心に後悔をかかえている。
あのとき、酔っぱらっていなければ、あのとき、そう、あのとき「アブジンスキー」を飲まなければ・・・。

彼女の足跡をたどる過程で、ほんのちょっとの偶然と、すれ違いが積み重なっていく様子が描かれる。
ああ、人生って、後悔の積み重ねなのよ!

アブジンスキーって(笑)アブサンとジンとウイスキーのカクテルですって。それは不味いと思うぞ。

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2003.10.16

贖罪 イアン・マキューアン 新潮社

マキューアンを読み始めたのは図書館でマキャモンの隣に並んでいたから、という単純な理由。とはいえ何だか不思議なブラックで妖しい雰囲気のある作風が妙に気に入り、結構読んでいます。
でもこの作品はとても正統的な「文学」って感じですね。

イギリスの旧家に住む少女のあるあやまちにより人生を狂わされたカップル。それは少女の姉と幼なじみの青年だった。少女はその後「贖罪」のために一生を捧げる。彼女は赦されたのか?

全体は3部構成で1935年、1945年、そして現在(1999年)がエピローグとして描かれる。
この構成がとてもうまい。
事件が起こる1935年のある1日の出来事がそれはそれは細やかに描かれる。時代背景、家庭背景、人物の置かれている立場、性格それぞれが丁寧すぎるくらいで、ちょっと、疲れる。(でもこれが最後のエピローグで効いてくるんだねー)
1945年ではフランスに派兵された兵士たちやイギリスで働く見習い看護婦たちの日常と心理が同様に綿密に描写されていて、すごい厭戦気分になる。その中にちゃんとその語の登場人物の行く末が語られ、この章は単独でも素晴らしいと思う。
そしてエピローグは70歳をすぎた少女の現在なのだが、時の移ろいを感じさせるエピソードがしみじみさせる。この小説は作家となった少女の最後の小説であるという形をとっていて、最後は小説とは何かといったことまで言及しながら、えええ!?というもうひとつのラストまであったりするのです。

たっぷり堪能させていただきました。

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2003.10.07

心洞 五條瑛 双葉社

前回の「紫嵐」より随分読みやすかったかしら。

でもこのシリーズはどうなるんだ?
私は彼らの考える「革命」ってのがもひとつよくわかりません・・。うむむ。

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2003.10.02

グロテスク 桐野夏生 文藝春秋

誰もがその美貌に目を奪われる怪物的な美しさをもったユリコ。彼女は娼婦になって殺される。昼は一流企業に勤め夜は娼婦をしていた和恵も同様の状況で殺害されていた。ユリコの姉は和枝の高校の同級生でもあり、ふたりの過去を語りはじめる。なぜ二人は娼婦になったのか・・。
ユリコの姉の語り、ユリコの日記、殺人犯の供述、和枝の日記という風に「薮の中」形式で描かれていくのだけど、正直、展開は興味深くはあるが、もうひとつだと思った。

しかし「和恵」の日記はやはり凄い。凄みがあった。
彼女は東電OL殺人事件として注目を浴びた女性をモデルにしていると思うが、
勘違いした佐野眞一のノンフィクション作品なんかより、ずっと真に迫るものがある。
そしてこの章を読んでしまうと、それまでの部分にやはり意味があったのねと思う。
多分登場する女性達、和恵、語り手の姉、ミツル・・の要素は女性ならきっと誰でも持っているはずだ。
ユリコは女性にしろ男性にしろ理想=存在しない女性なのだろう。
だからユリコの美貌も、性格も人生も実際はありえないという気がする。
だからユリコの息子である百合夫もありえない存在なのだ。

そして真にグロテスクなのはユリコでもなく、和恵でもなく、実は姉だったのだ。

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