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2002.03.04

神様 川上弘美 中央公論社

続けて川上弘美。短編集「神様」

彼女の作品を読み出したきっかけは、久世光彦の書評だった。
そこで紹介してあったのが「春立つ」。

「猫屋」という飲み屋のおかみさんカナエさんの身の上を、わたしが聞いている。
ずっと若いころ。ある雪の日、カナエさんは穴にはまって、ある男と出会う。一緒に暮らす。カナエさんはその男のことが好きになって「好きだ」といったら、元の場所に戻されてしまった。
次の年もまた行った。その次の年も。でも、いつも「好き」というと、戻される。ついにカナエさんは男のことを考えなくなった。一緒にいるのに男を感じず、居ても居なくても変わらないような状態になった。そして、カナエさんは自ら、そこを出ていった。

そんな話をして、しばらく立って行ってみると「猫屋」は店終いしていた。「今度は違うように、できるような気になりましたので」と書き置きして、カナエさんはあの、雪国へ旅立ったのだ。

なんか、いい話や。

●キーワード:カリン酒

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