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2002.03.12

センセイの鞄 川上弘美 平凡社

先日の京極もなぜか主人公は「センセイ」だった・・・。


センセイとツキコさんはある飲み屋で知りあう。肴の好みがよくあうご仁だこと、と思っていたら実は高校の時の国語の教師であることが判明。ツキコさん37歳、センセイは70歳くらいだろうか?の時だった。
端然とした姿勢を崩さない少し昔気質のセンセイと年齢にしては子供っぽいところのあるふわふわとしたツキコさん。以来、二人は飲み屋さんで顔を合わせだんだん親しくなっていく。

正直言って、この歳になると恋愛は面倒くさいのだ。恋愛は他人の領分をある意味、侵しあうものであるから。40近くになるとそれなりに自分なりの決め事があり、楽しみ方を見つけている。それを今更変えるのは少し不安だったり、不快だったりする。

それでもツキコさんはセンセイを好きになる。だから、これはフィクションなんだよ、とも思う。物語の中ならそれは心地よい。
豆腐だけの湯豆腐を食べていたツキコさんは、センセイと付きあうようになってからはタラや春菊が入った湯豆腐を作るようになった。
でも、現実は湯豆腐は豆腐だけが美味しいのよと思ってしまうかもしれない。

せつせつ、あわあわと語られている中に、真面目くさった可笑しさというのか、読んでいてクスクス笑ってしまうところがある。こういうところが結構好きだ。

ツキコの同級生の男のが登場するが、彼に対して、彼は小学生の時は少年らしく、高校生の頃は青年らしく、30歳になった頃には「大人」になったんだろう。対して私は、小学生の時は大人だった。しかし、その後あまり成長していないから未だに子供っぽい。などと評するところがあって、共感してしまった。

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